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『グロリア』活劇とリアリズム

監督:ジョン・カサヴェテス 出演:ジーナ・ローランズ 1980年 アメリカ映画 とにかくグロリアがカッコいい。小さな少年を守ってギャング相手に拳銃をぶっ放し、敵の事務所に単身乗り込んで交渉する。更にそんな彼女を突き動かしているのは無償の善意ときている。正義の味方だ。普通なら白々しい絵空事になってしまうこと請け合いだが、その映画の嘘にジーナ・ローランズの顔と身体、演技が強烈な存在感を与え、ジョン・カサヴェ...

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『チャイナタウン』観客の感性を全ての点で上回るミステリー映画の傑作

監督:ロマン・ポランスキー 脚本:ロバート・タウン 1974年 アメリカ映画 観客が理解するより先に展開していく物語、リアルで充実した描写、一見何気ない場面の連続でありつつ後にそのすべてが意味を持ってくる緊密な編集など、構成要素のどれもが優れていて、非常に完成度の高い映画だ。勿論、決して紳士には見えないジャック・ニコルソンや大柄でいかにも海千山千のジョン・ヒューストン、儚げで退廃的なフェイ・ダナウェイな...

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『火事だ!』虚構のリアリズム (英題: Fire!)

監督 ジェームズ・ウィリアムソン 1901年 イギリス映画 4分40秒 ある建物に火事が起こり、それを見つけた警官が消防署に知らせ、住人の危機と消防隊の活躍があり、最後に住人が無事救出される。 非常に単純だが、複数の異なるシーンを連結することによって起承転結、つまり物語を獲得している。映画が物語を語り始めた時代のオリジナル・ストーリーだ。 ただ、その最初期の物語はあまりに単調すぎて、現代においては退屈な映...

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『逆噴射家族』真正の喜劇

監督/脚本: 石井聰互 原案/脚本: 小林よしのり 脚本: 神波史男 1984年 非常識で不謹慎極まりない映画。表題は死傷者を出した痛ましい航空機事故のパロディになっていて、夫と妻、親と子が殺し合い、祖父は孫娘を強姦しようとする……無茶苦茶な映画だ。しかし、だからこそ道徳の範囲内に収束してしまう通常のコメディ映画とは比較にならない面白さがある。 既存の良識と価値観に揺さぶりをかけるのが、喜劇の効用の一つだとすれ...

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『斬、』人間と世界の不調和

監督 塚本晋也 2018年 全体の状況より個々の被写体の細部に執着する視点に塚本晋也らしい魅力がある。熱せられた橙色の鉄、刀とその擬態音、首を握る手、竹とんぼやてんとう虫など。揺れるカメラが生み出す臨場感、塚本の演じる澤村のキャラクターなども魅力的だし、物語は独創的だ。 ただ、この映画は江戸時代の末期を描きつつ、そこに第二次世界大戦後の価値観を持ち込んでしまう。池松壮亮演じる主人公、都筑のキャラクター...

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『バレット・バレエ』特異な青春映画

監督:塚本晋也 出演:真野きりな・中村達也 2000年 編集によって物語と映像と音を融合させた強靭な表現、それが喚起する名指すことのできない情念。塚本晋也の魅力はここでも健在だ。 拳銃自殺した恋人、銃を求めて彷徨う夜の街、銃を売ってくれるらしいヤクザ、手製の拳銃を作るために赴く町工場……全ての描写が主人公ゴウダの生々しい情念を乗せて拳銃に凝集していく。 しかし、この映画はその情念を爆発させることがない。激...

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『ゴッドファーザー』 巧緻を極めた表現と卓越した着想

監督 フランシス・フォード・コッポラ 1972年 アメリカ映画 我々人間の営んでいる社会生活からその生存競争としての本質を抽出したような内容、設定・物語・描写に通底するリアリズム、多彩な対照描写などがこの映画の魅力だ。また、表現面では個々の構成要素がそれぞれ堅実で優れていて、ほとんど欠点らしい欠点がない。そして、この映画はそれらの優れた特徴を観客に意識させない。斬新さや突出した技巧で観客を驚嘆させるこ...

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『レディ・プレイヤー1』 夢想する力への祝福

監督 スティーブン・スピルバーグ 2018年 アメリカ映画 『レディ・プレイヤー1』は人の夢想とそれによって創造された世界への祝福だ。たとえその発端と実態が現実からの逃避であったとしてもそれはもう関係ない。なぜならイマジネーションはそれ自体として素晴らしいものなのだから…。『レディ・プレイヤー1』はそういう映画だ。 映画はファーストシーンで手短に主人公と彼の生きる環境を紹介すると、彼自身のナレーションに...

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『蜘蛛巣城』 完成された世界と物象化された人間

監督 黒澤明 1957年 『蜘蛛巣城』は美しく、完成された映画だ。そしてその作品の美的な完全さがそのまま自由の無さの表現となっているのが特徴的だ。完全であるということは即ち美であり、自由の存在する余地がないということでもある…少なくとも映画を見ている間は観客にそう信じさせずにはおかない。 構成要素は厳格にその役割を規定され、すべての映像、すべての時間が統制されている。現在で過去を挟み込む構成と、予言が有...

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『トータル・リコール』 趣味の悪さと知的な面白さ

監督 ポール・バーホーベン 1990年 アメリカ映画 大がかりなSF映画。ちょっと悪趣味なところがあるが、そこさえ気にならなければよくできた面白い娯楽作品だ。原作者は『ブレードランナー』や『マイノリティ・リポート』と同じフィリップ・K・ディックで、この3本の中では現実と虚構を等価にしてしまうような彼の持ち味が一番ストレートに再現されている。原作にあった詩情やユーモアは消えて、かなり直接的、どぎついと言って...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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