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『腰辨頑張れ』成瀬巳喜男、現存最古の監督作

監督/原作:成瀬巳喜男 1931年 成瀬巳喜男8本目の監督作。現存最古の成瀬作品でもある。今日の目で見ると月並みなストーリーだが、単なるドタバタコメディに留まらず、生きた人間の悲哀を盛り込んだことが当時は高く評価されている。'30年代初頭、日本映画がまだ発展途上にあり、成瀬自身もキャリアをスタートして1年ほどの頃だ。 そして統一された全体としての作品の出来は平凡かもしれないが、細部には魅力も沢山ある。日常の...

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『金田一耕助の冒険』全編に溢れる虚構性

監督 大林宣彦 1979年 日本で『月世界旅行』が公開されてから74年が過ぎた頃『金田一耕助の冒険』は公開された。しかし、残念なことに1979年の人々は映画の虚構としての面白さを忘れてしまっていて、この映画はとても不評だったようだ。キネマ旬報のベストテンでは批評家からは無視されてなんと得票0、観客選出でも25位と低迷している。 当時はリアリズム以外は認めないとするような考え方が大勢を占めていたのだろうか? そ...

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『吸血鬼』(1967) 曖昧なリアリズム

監督 ロマン・ポランスキー 出演 シャロン・テート 1967年 アメリカ・イギリス ホラーでありコメディでもある映画。オーソドックスな吸血鬼映画の筋や設定をそのままなぞりつつも、中身はドタバタコメディだ。 面白い描写があり、コメディ部分もそれなり楽しいのだが、作品としては平凡な出来に留まっているように見える。描写はリアリズムにもロマンティシズムにも振り切れないまま、作品の性質はシリアスとコメディの間を彷...

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『ローズマリーの赤ちゃん』コミカルで怖ろしい恐怖映画

監督 ロマン・ポランスキー 1968年 アメリカ映画 一人の女性が日常生活の中で徐々にサタニストたちに包囲されていき、悪魔の子を身籠らされる──という非常に怖い映画なのだが、なぜかホラーらしからぬ、おしゃれで楽しいコメディ映画のような要素も紛れ込んでいたりする。 ニューヨークの街とダコタ・ハウスを捉えた映像、崩した筆記体のクレジット、ミア・ファローのスキャットなどで構成されたオープニングは、洒落た恋愛映...

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『ワイルド・アット・ハート』映画を笑うための映画

監督/脚本 デヴィッド・リンチ 1990年 アメリカ映画 タフな男のワイルドな生き様を描いた痛快アクション・バイオレンス巨編であり、感動の純愛ラブストーリーだ。が、そのあまりにストレート過ぎる表現はその種の映画のバカバカしさを観客に否応なく自覚させて爆笑を引き起こしてしまう。つまり、これはコメディ映画なのだ。B級映画のでたらめな表現を大真面目に模倣し、おしゃれなフィルムノワール(フランス語でこう呼ぶと作...

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『月世界旅行』虚構の魅力

ジョルジュ・メリエス 1902年 フランス映画 14分 史上初のSF映画として有名な作品。人の顔をした月に弾丸が突き刺さっている画は、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。映画という極めて現実的な表現媒体で、自由奔放な夢物語を具象化したことが画期的だ。 キネトスコープの頃から映画に内在していた魅力のうち、リュミエール兄弟が映画の迫真性と記録性の魅力を知らしめたのだとしたら、ジョルジュ・メリエスは映画のもう...

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『逆噴射家族』真正の喜劇

監督/脚本: 石井聰互 原案/脚本: 小林よしのり 脚本: 神波史男 1984年 非常識で不謹慎極まりない映画。表題は死傷者を出した痛ましい航空機事故のパロディになっていて、夫と妻、親と子が殺し合い、祖父は孫娘を強姦しようとする……無茶苦茶な映画だ。しかし、だからこそ道徳の範囲内に収束してしまう通常のコメディ映画とは比較にならない面白さがある。 既存の良識と価値観に揺さぶりをかけるのが、喜劇の効用の一つだとすれ...

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『トーキング・ヘッド』映画のパロディ

監督 押井 守 1992年 押井守はタルコフスキーが好きだそうだが、実際に彼の撮る映画は、深刻で濃密なタルコフスキーより、どちらかと言うと軽薄で気まぐれな鈴木清順に似ている。好きな映画と作る映画が乖離しているのが面白い。 この映画もリアリティ皆無の不条理劇で、常識的な感性を持った観客にはそっぽを向かれてしまいそうな作風だ。  唐突な歌唱場面。後ろには何故か『月世界旅行』の月 アニメ映画の納期1ヶ月前に監...

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『殺しの烙印』特異な感性とキッチュ

監督 鈴木清順 1967年『殺しの烙印』は一般的にはとんでもない駄作と見做されている一方、一部では熱狂的に支持されてもいる。なぜそんなことになっているかは、実際に見てみれば一目瞭然、とても ”変な” 映画なのだ。作品世界や人物の設定は荒唐無稽で、物語も破綻しているのだが、被写体の造形、フレーミングと構図、照明の作り出す光と影の演出などが非常に魅力的でもある。当時の日活の社長はこの映画を見て「わからない映画...

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『ベティ・ブープ:ベティの笑へ笑へ』現実への哄笑

監督 デイブ・フライシャー アメリカ映画 1934年 ( 原題『BETTY BOOP HA! HA! HA!』) 『ベティ・ブープ』シリーズの一本で7分程の小品。同年の日本映画『隣の八重ちゃん』に登場人物がこの映画を見る場面が出てくる。また、筒井康隆はこの映画に触発されて『虚航船団』を書いたそうだ。 実写とアニメが合成され、それぞれが表す現実の世界と虚構の世界を登場人物たちが何度も越境し、最後には虚構が現実を侵食してしまう。 ...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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