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『HOUSE ハウス』 大林宣彦の遊び心に溢れたデビュー作

監督 大林宣彦 1977年 『HOUSE ハウス』は映画の楽しさを堪能させてくれる映画だ。題材的にはホラー映画であり、実際怖い場面もあるにはあるのだが、その怖さは遊園地のお化け屋敷のように楽しい。娯楽作品とは言ってもこれだけ無意味に徹して観客を楽しませてくれる映画はそうそうないだろう。勿論それだけ作品の出来が素晴らしいということなのだが、批評家には評価されづらそうだ。自然主義的リアリズムから懸け離れたところ...

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『鉄男』 塚本晋也の特異な個性

監督:塚本晋也 音楽:石川忠 1989年 この映画の内容はエログロナンセンスと形容できるものだが、それだけでは言い足りない。狂気と金属と走ることで埋め尽くされた描写、極端に短く目まぐるしいカット割り、金属音のような特殊な音響効果と背景音楽、異様で個性的な表現が横溢して観客を圧倒する。異常なほど迫力のある映画だ。何を物語り、何を描いているのかも理解できないのに観客は見ることをやめられない。いや、上品で良識...

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『蜘蛛巣城』 完成された世界と物象化された人間

監督 黒澤明 1957年 『蜘蛛巣城』は美しく、完成された映画だ。そしてその作品の美的な完全さがそのまま自由の無さの表現となっているのが特徴的だ。完全であるということは即ち美であり、自由の存在する余地がないということでもある…少なくとも映画を見ている間は観客にそう信じさせずにはおかない。 構成要素は厳格にその役割を規定され、すべての映像、すべての時間が統制されている。現在で過去を挟み込む構成と、予言が有...

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『メアリー女王の処刑』 映画の始まり

監督 アルフレッド・クラーク 1895年 アメリカ映画 (原題『The Execution of Mary, Queen of Scots』) キネトスコープで公開された作品。複数の人間が暗闇の中で同時に一つのスクリーンを見る現在の映画とは異なり、個々の人間が箱の中を覗き見る形式だ。媒体の違いによって現在の映画視聴とは体験の質が異なっていただろう。より私秘的で、他者との感動の共有が乏しいものであったことからキネマスコープはシネマトグラフに...

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『カリガリ博士』 世界を表現の対象とした映画

監督 ロベルト・ヴィーネ 1920年 ドイツ映画 この映画を見たことはなくとも『カリガリ博士』の名を聞いたことがないという人はいないだろう。『フランケンシュタイン』や『ジキル博士とハイド氏』は小説が原作だが、『カリガリ博士』はこの映画がオリジナルだ。ドイツ表現主義の代表的な作品で、現在に至るまで世界の映画に影響を与え続けている。日本においても衣笠貞之助の傑作『狂った一頁』はこの映画に触発されたものだ。...

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『ヴァンパイア』(カール・ドライヤー) 映像の面白さと古びた物語

監督 カール・テオドア・ドライヤー 1932年 フランス・ドイツ映画 (別題:『吸血鬼』) 動き回っていた影が本来の位置に戻り 実体に添って立ち上がる。 最初期の吸血鬼映画の一つ。自律的に動き回る影の表現、死者の目から見た風景、二重露光で分裂する人物など、視覚的な面白さの優った映画だ。 カール・ドライヤーは前作『裁かるるジャンヌ』の芸術的な成功にも関わらず、ここでは全く異なるアプローチ、技法を用いてい...

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『狼の血族』 性的暗喩と不条理に満ちたおとぎ話

監督 ニール・ジョーダン 1984年 イギリス映画 イメージ、世界観、物語、いずれもが独創的だ。本編の内容を夢として描き出し、その中に奇妙で美しいイメージ、現実とは異なる因果律に支配された不思議な世界とそこで展開する不条理な物語を見せてくれる。  夢の世界におけるロザリーン 冒頭、部屋に閉じこもり眠っている少女。同一カット内で照明が急速に昼を夜に変え、不自然に風が舞う。カメラは部屋に飾られた水兵や熊の...

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『狂った一頁』 衣笠貞之助の傑作前衛映画

監督:衣笠貞之助 脚本:川端康成 1926年 独創的な映画だ。無声映画であり、かつ、字幕がない。美術、撮影、照明、編集などにおいて様々な実験的な表現がなされており、通常の劇映画、商業映画にない魅力を持っている。説明的なところが全くない映画だが、決して難解ではない。普通に見ていると主人公は病院の使用人で、彼が常に執着している女が彼の妻で、結婚する女は彼らの娘だろうと事後的に解釈出来てくる。 「日本で生ま...

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『ゴジラ(1954)』強烈なキャラクターの確立と丁寧な演出

監督 本多猪四郎 1954年 ゴジラの映画であり、いわゆる怪獣映画だ。観客にとっては見たことはなくとも「ああ、あのゴジラね」と見る前から何となく分った気になるものだが、この映画はとてもよくできていて今見ても面白い。勿論1954年に見るインパクトには及ばないが。 まず作中の人物たちにとってゴジラを未知の存在として描いていくのがいい。観客も作品の展開に合わせて彼らとともにこの作品世界におけるゴジラを徐々に知っ...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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