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『麗猫伝説』映画の嘘

監督:大林宣彦 出演:入江たか子・風吹ジュン 1983年に火曜サスペンス劇場の一編として作られたテレビ映画で、1998年に劇場公開されている。完成度は極めて低いが、虚構性の露わなディティールや短い1ショットの美しさを備えた大林宣彦らしい一作だ。 戦前の大女優で戦後は化け猫女優として知られた入江たか子が出演していて、作品の内容も彼女へのオマージュとなっている。この映画の描く世界では、映画自体は現実の世界同様、...

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『可愛い悪魔』美しい仮構の世界

監督:大林宣彦 出演:ティナ・ジャクソン(川村ティナ)・秋吉久美子 1982年 手作り感ある仮構の作品世界と数々の特殊で美しいイメージに際立った魅力がある。 日本テレビの「火曜サスペンス劇場」の一作として作られた作品で、映像や音声の品質はテレビドラマそのものだし、大袈裟で不自然な演技、過剰に使用されて煩わしい背景音楽など、弱点も沢山ある。映画としては鑑賞に耐えられないレベルに見えるかもしれない。 しかし、...

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『ファンタスティック・プラネット』独創的なSFアニメ

監督:ルネ・ラルー 原作:ステファン・ウル 美術:ローラン・トポール 仏・チェコスロバキア 1973年 不思議な世界観が気持ち悪くも魅力的な映画。不気味でシュールな設定、それに形を与えた美術、奇妙でありながら現実的な物語、とにかく何もかもが独創的だ。 映画を見始めるとまず、ペン画のようなタッチを残した手描きの絵がそのまま動くのに驚かされる。どの作品を見ても質感が一様な日本やアメリカのアニメに慣れた目には...

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『金田一耕助の冒険』全編に溢れる虚構性

監督 大林宣彦 1979年 日本で『月世界旅行』が公開されてから74年が過ぎた頃『金田一耕助の冒険』は公開された。しかし、残念なことに1979年の人々は映画の虚構としての面白さを忘れてしまっていて、この映画はとても不評だったようだ。キネマ旬報のベストテンでは批評家からは無視されてなんと得票0、観客選出でも25位と低迷している。 当時はリアリズム以外は認めないとするような考え方が大勢を占めていたのだろうか? そ...

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『マルホランド・ドライブ』解釈と意味作用

監督 デヴィッド・リンチ 2001年 アメリカ映画 この映画は様々な謎が提示されミステリーのように展開していくが、謎そのものは決して解き明かされない。つまり推理モノのように最後にすべてのピースが当てはまり全体の絵が完成されることでスッキリしたいという人には向いていない。しかし、それとは別の、もっと幻惑的な面白さを与えてくれる。 もしかしたらデヴィッド・リンチはミステリー作品に物足りなさを感じたことがあ...

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『ミッドナイト・イン・パリ』 芸術家たちの描写が面白い

監督 ウディ・アレン 2011年 アメリカ映画 軽くてオシャレな…もしくは軽薄で気取った映画。どちらの印象になるかは観客次第だが、しかし実はただ軽いだけではなく自己言及的なアイロニーも多分に含んでいる。かと言って重く深刻に考えさせるようなこともしない。独特のバランス感覚があり一筋縄ではいかないコメディ映画だ。 エッフェル塔や凱旋門などを入れ込み、現代のパリを定番通りに映し出していくオープニング。冒頭から...

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『Virginia/ヴァージニア』 コッポラの極私的映画

監督 フランシス・フォード・コッポラ 2011年 アメリカ映画 かなり出来の悪い映画と言ってしまっていいだろう。映画が始まるとすぐにナレーションが舞台となる町の様子を説明してくれるのだが、「明らかに悪霊が住みついているのだ」と断定的に語る主観丸出しのナレーションはどこの誰かも分からないし、これ以降出て来ることもない。設定は現代のようだが、描かれる町や住人は ’60 〜 ’70年代ごろのアメリカ映画のようだ。その...

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『アイズ ワイド シャット』 ある事柄についてのシンプルな映画

監督 スタンリー・キューブリック 1999年 イギリス・アメリカ映画 キューブリックの映画は難解であるという世評があるが、決してそんなことはない。表現は曖昧さを徹底的に排除していて常に明快だ。逆に明快さこそが彼の特徴であり、作品そのものは極めて単純にできている。『時計じかけのオレンジ』などは明快過ぎて露悪的なほどだし、『2001年宇宙の旅』のシンプルな表現を複雑に、また哲学的に解釈しようとするのもあくまで...

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『パンズラビリンス』 現実と幻想の関係

監督・脚本 ギレルモ・デル・トロ 2006年 メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画 ファンタジー映画。表現は分かり易く、万人向けのスタイルになっている。ただ、夢や希望を肯定する明るいファンタジーではない。スタイルは子供向きだが、内容は暗く苦い。ファンタジーでありながら、ファンタズムが却って悲惨な現実を浮き彫りにし、人の普遍的な想像力や宗教的心情について考えさせる。 冒頭で地下世界の王女のおとぎ話が語ら...

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『ドリームチャイルド』 愛情に溢れたオマージュ

監督 ギャヴィン・ミラー 1985年 イギリス映画 『ドリームチャイルド』は良質の娯楽映画だ。よくできた堅実な作りで『不思議の国のアリス』のファンタジーとしての魅力、郷愁に満ちた『黄金の午後』を具現化していて、特に原作の読者には素晴らしい贈り物となっている。原作の一部を映像化した部分はこれまでに映画化されたどの『不思議の国のアリス』よりも魅力的だ。 また、意図したものではないだろうが、過去と現在、幻想...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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