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『グロリア』活劇とリアリズム

監督:ジョン・カサヴェテス 出演:ジーナ・ローランズ 1980年 アメリカ映画 とにかくグロリアがカッコいい。小さな少年を守ってギャング相手に拳銃をぶっ放し、敵の事務所に単身乗り込んで交渉する。更にそんな彼女を突き動かしているのは無償の善意ときている。正義の味方だ。普通なら白々しい絵空事になってしまうこと請け合いだが、その映画の嘘にジーナ・ローランズの顔と身体、演技が強烈な存在感を与え、ジョン・カサヴェ...

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『チャイナタウン』観客の感性を全ての点で上回るミステリー映画の傑作

監督:ロマン・ポランスキー 脚本:ロバート・タウン 1974年 アメリカ映画 観客が理解するより先に展開していく物語、リアルで充実した描写、一見何気ない場面の連続でありつつ後にそのすべてが意味を持ってくる緊密な編集など、構成要素のどれもが優れていて、非常に完成度の高い映画だ。勿論、決して紳士には見えないジャック・ニコルソンや大柄でいかにも海千山千のジョン・ヒューストン、儚げで退廃的なフェイ・ダナウェイな...

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『ワイルド・アット・ハート』映画を笑うための映画

監督/脚本 デヴィッド・リンチ 1990年 アメリカ映画 タフな男のワイルドな生き様を描いた痛快アクション・バイオレンス巨編であり、感動の純愛ラブストーリーだ。が、そのあまりにストレート過ぎる表現はその種の映画のバカバカしさを観客に否応なく自覚させて爆笑を引き起こしてしまう。つまり、これはコメディ映画なのだ。B級映画のでたらめな表現を大真面目に模倣し、おしゃれなフィルムノワール(フランス語でこう呼ぶと作...

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『マルホランド・ドライブ』解釈と意味作用

監督 デヴィッド・リンチ 2001年 アメリカ映画 この映画は様々な謎が提示されミステリーのように展開していくが、謎そのものは決して解き明かされない。つまり推理モノのように最後にすべてのピースが当てはまり全体の絵が完成されることでスッキリしたいという人には向いていない。しかし、それとは別の、もっと幻惑的な面白さを与えてくれる。 もしかしたらデヴィッド・リンチはミステリー作品に物足りなさを感じたことがあ...

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『ある犯罪の物語』特殊な表現とドラマの獲得

監督 フェルディナン・ゼッカ 1901年 フランス映画 5分14秒 ある男が強盗殺人をして、警察に捕まり、絞首刑に処せられる。その中に彼の回想シーンが出てくるのだが、その表現方法が現代の映画とは異なっていて、とても面白い。  現在と過去が同時に存在し、  部屋の配置がなぜか反転する不思議な描写 まず、彼と看守らしい人物が独房で寝ている様子が描かれ、その同一フレームの中にもう一つの小さなフレームが突然現れ、...

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『トーキング・ヘッド』映画のパロディ

監督 押井 守 1992年 押井守はタルコフスキーが好きだそうだが、実際に彼の撮る映画は、深刻で濃密なタルコフスキーより、どちらかと言うと軽薄で気まぐれな鈴木清順に似ている。好きな映画と作る映画が乖離しているのが面白い。 この映画もリアリティ皆無の不条理劇で、常識的な感性を持った観客にはそっぽを向かれてしまいそうな作風だ。  唐突な歌唱場面。後ろには何故か『月世界旅行』の月 アニメ映画の納期1ヶ月前に監...

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『殺しの烙印』特異な感性とキッチュ

監督 鈴木清順 1967年『殺しの烙印』は一般的にはとんでもない駄作と見做されている一方、一部では熱狂的に支持されてもいる。なぜそんなことになっているかは、実際に見てみれば一目瞭然、とても ”変な” 映画なのだ。作品世界や人物の設定は荒唐無稽で、物語も破綻しているのだが、被写体の造形、フレーミングと構図、照明の作り出す光と影の演出などが非常に魅力的でもある。当時の日活の社長はこの映画を見て「わからない映画...

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『告白』優れた描写と奇抜なプロット

監督/脚本:中島哲也 原作:湊 かなえ 出演: 松たか子・橋本愛・木村佳乃 2010年 異常で猟奇的な登場人物・ストーリーと優れた描写でできている映画。人間のネガティブな情動を露悪的に描き、観客の皮相な好奇心を刺激する。その種のものを好まない人には向かないだろう。サービス精神に溢れたエンターテイメントとも言えるし、安っぽく興味本位とも言えるかもしれない。 登場人物の設定やプロットは、その奇抜さで観客を引きつけ...

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『浪華悲歌(なにわえれじい)』偶有性と女優の演技

監督:溝口健二 脚本:依田義賢 出演:山田五十鈴 1936年 物語を語る中に一人の女性の様々な側面を描き出したシナリオと、気弱そうに見える女性がタバコを吐き捨てる「不良少女」になるまでを演じた山田五十鈴が、まず最初に気づくこの映画の魅力だ。 山田演じるアヤコは貧しく荒んだ家庭の娘であり、同年代の恋人がいる若い女性だ。一方で豪華なアパートに囲われた愛人であり、男を騙す悪女でもある。伝統的な着物姿からモダン...

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『ゴッドファーザー』 巧緻を極めた表現と卓越した着想

監督 フランシス・フォード・コッポラ 1972年 アメリカ映画 我々人間の営んでいる社会生活からその生存競争としての本質を抽出したような内容、設定・物語・描写に通底するリアリズム、多彩な対照描写などがこの映画の魅力だ。また、表現面では個々の構成要素がそれぞれ堅実で優れていて、ほとんど欠点らしい欠点がない。そして、この映画はそれらの優れた特徴を観客に意識させない。斬新さや突出した技巧で観客を驚嘆させるこ...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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