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『飾窓の女』 フリッツ・ラングの描く虚構としての世界

監督 フリッツ・ラング 1944年 アメリカ映画 夢の描き方が実にうまい。俗に言う夢オチ映画だが、その種の映画の多くがラストになって唐突にそれまでの展開を無効にして観客を白けさせるのに対して『飾窓の女』はまったく異なる。真逆だ。 『飾窓の女』ではそれまで現実として扱われていた描写と展開が、ラストに至って虚構としてこそより相応しいものであったことを観客が驚きとともに発見する。通常の夢オチ映画と違って夢と...

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『トゥルーマン・ショー』 世界は舞台、人は役者

監督 ピーター・ウィアー 1998年 アメリカ映画 閉じた虚構の世界に生きる男が自由と他者を求めて現実の世界を目指す姿を描いた映画だ。その物語自体とても面白い。ピーター・ウィアーの持ち味である叙情性や湿度の高い映像の美しさもそれをより高めている。そこにさらに他者の人生を娯楽の手段とする人々などブラックユーモアとしての側面、虚構の世界やその現実との関係を描いたメタ・フィクション的な性質もある。それぞれの...

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『市民ケーン』 形式の魅力と映画としての魅力

監督 オーソン・ウェルズ 1941年 アメリカ映画 1941年の映画だが全く古びていない。古びるほどの内容を持っていないとも言えるかもしれない。『市民ケーン』は描かれる内容が特別に興味深いというのではなく、技巧を駆使した表現によってこそ素晴らしい映画となっているためだ。映画が単なる物語ではないということを示す格好の例であり、また、文学や演劇ではない映画の、映画的な面白さに満ちている。 光と影が交錯し、人々...

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『アイズ ワイド シャット』 ある事柄についてのシンプルな映画

監督 スタンリー・キューブリック 1999年 イギリス・アメリカ映画 キューブリックの映画は難解であるという世評があるが、決してそんなことはない。表現は曖昧さを徹底的に排除していて常に明快だ。逆に明快さこそが彼の特徴であり、作品そのものは極めて単純にできている。『時計じかけのオレンジ』などは明快過ぎて露悪的なほどだし、『2001年宇宙の旅』のシンプルな表現を複雑に、また哲学的に解釈しようとするのもあくまで...

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『カリガリ博士』 世界を表現の対象とした映画

監督 ロベルト・ヴィーネ 1920年 ドイツ映画 この映画を見たことはなくとも『カリガリ博士』の名を聞いたことがないという人はいないだろう。『フランケンシュタイン』や『ジキル博士とハイド氏』は小説が原作だが、『カリガリ博士』はこの映画がオリジナルだ。ドイツ表現主義の代表的な作品で、現在に至るまで世界の映画に影響を与え続けている。日本においても衣笠貞之助の傑作『狂った一頁』はこの映画に触発されたものだ。...

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『雄呂血』 視点と描写の乖離が美点となった映画

監督:二川 文太郎 脚本:寿々喜多呂九平 出演:阪東妻三郎 1925年 阪東妻三郎プロダクションの第一作目。後世の批評が語る通り、殺陣の当時における斬新さ、時流に合致しての大ヒット、それらによって時代劇を刷新したこと等が日本映画史上の意義だ。日本映画の発展に寄与したことは間違いないだろう。しかし、『雄呂血』には歴史的な価値に留まらない普遍的魅力がある。そのことについて語らなければ現代において改めてこの...

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『レザボア・ドッグス』 B級映画の顔を持った一級品

監督 クエンティン・タランティーノ 1992年 アメリカ映画 初監督作でいきなり才能が爆発している。優れた映画監督にはキャリア初期に傑作を作ってしまうタイプと徐々に才能を発揮してやがて傑作を撮るタイプがあるとしたら、タランティーノは明かに前者だ。 様々な引用で構成されつつ出来上がった映画はしかし見事に個性的だ。数々の影響や引用がタランティーノ本人をはじめとする多くの人によって語られている映画でもあるが...

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『サクリファイス』 実体と表現の間

監督 アンドレイ・タルコフスキー 1986年 スウェーデン映画 この映画は世界観、表象、物語…つまり何もかもがキリスト教的だが、キリスト教礼賛ではない。人類が持っている宗教的な心情、信仰や迷信への心的傾向がこの映画においてはキリスト教に像を結んでいるということだ。テンポの遅ささえ気にしなければ誰もが楽しめる。描写も物語も独創的でとても面白い。特にタルコフスキーの映画としては偏りがちだった描写が抑制され、...

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『影武者』 (1) 黒澤明後期の特異な傑作

監督 黒澤明 1980年 非常に独創的で特殊な映画だ。なかなか語る言葉も見つからない。 そのせいか公開時から今に至るまでずっと賛否両論が続いているようだ。その意味では評価の決定している『生きる』や『七人の侍』などより現代においてはもっとも活きのいい黒澤映画と言えなくもない。 この映画の変わっている点はいくつもあるが、まずその描写が特異だ。 一見アクションが見どころの時代劇のような外見だが実際は全く逆で...

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『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』認識論的魅力に満ちた傑作アニメーション映画

監督 押井 守 1984年 不思議な小路で道に迷うしのぶ。 回り込む背景も含め画面全体が手書きアニメーションで構成され ている。物語への貢献より描写の美しさが優った場面 大衆的な娯楽映画から少しはみ出してみせたアニメ映画。エンターテイメントの枠を内側から押し広げたと言ってもいいかもしれない。いずれにせよエンターテイメントと作家性のバランスがとてもいい。マニアックな作品の多い押井守監督作としては異例なほど...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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