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『吸血鬼』(1967) 曖昧なリアリズム

監督 ロマン・ポランスキー 出演 シャロン・テート 1967年 アメリカ・イギリス ホラーでありコメディでもある映画。オーソドックスな吸血鬼映画の筋や設定をそのままなぞりつつも、中身はドタバタコメディだ。 面白い描写があり、コメディ部分もそれなり楽しいのだが、作品としては平凡な出来に留まっているように見える。描写はリアリズムにもロマンティシズムにも振り切れないまま、作品の性質はシリアスとコメディの間を彷...

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『ローズマリーの赤ちゃん』コミカルで怖ろしい恐怖映画

監督 ロマン・ポランスキー 1968年 アメリカ映画 一人の女性が日常生活の中で徐々にサタニストたちに包囲されていき、悪魔の子を身籠らされる──という非常に怖い映画なのだが、なぜかホラーらしからぬ、おしゃれで楽しいコメディ映画のような要素も紛れ込んでいたりする。 ニューヨークの街とダコタ・ハウスを捉えた映像、崩した筆記体のクレジット、ミア・ファローのスキャットなどで構成されたオープニングは、洒落た恋愛映...

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『殺しの烙印』特異な感性とキッチュ

監督 鈴木清順 1967年『殺しの烙印』は一般的にはとんでもない駄作と見做されている一方、一部では熱狂的に支持されてもいる。なぜそんなことになっているかは、実際に見てみれば一目瞭然、とても ”変な” 映画なのだ。作品世界や人物の設定は荒唐無稽で、物語も破綻しているのだが、被写体の造形、フレーミングと構図、照明の作り出す光と影の演出などが非常に魅力的でもある。当時の日活の社長はこの映画を見て「わからない映画...

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『悪い奴ほどよく眠る』 部分の魅力と低い完成度

監督 黒澤明 1960年 内容的には同時代の現実的問題を取り上げた映画だ。題材そのものがリアルな現実性を要求している。それに応えて描写はリアリズムを徹底する。しかし描かれる人物や出来事は極端に誇張されていて非現実的かつドラマチックだ。復讐劇を語る物語や派手な演出、リズミカルな編集によって非常に面白い劇映画になっている。が、リアルな描写と誇張された人物やストーリーが齟齬を起こしてアンバランスで奇妙な印象...

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『天国と地獄』(2) 人間の抽象化と悪の普遍性

監督:黒澤明 出演: 三船敏郎・山崎努・仲代達矢 1963年 描かれる内容が非常に興味深い。内容面では『天国と地獄』は傑出した二人の人物とその相克を描いた映画と言えるだろう。三船敏郎演じる権藤と山崎努演じる竹内の二人だ。後半部の展開では戸倉警部の意志が竹内の運命に対して決定的な影響を与えている一方で主人公の権藤はほとんど出番がなく点景人物のようにも見えるが、この映画がその心理を真に深く入念に描いていると言...

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『天国と地獄』(1) 多様で充実した表現

監督:黒澤明 出演: 三船敏郎・山崎努・仲代達矢 1963年 非常に重量感のある映画だ。 人間心理の深奥にある暗く重い情念を描いた内容、必要な情報を大量に入れ込みながらもスリリングに展開する脚本、静的な室内シーンと動的な列車シーンなど、場面によって異なる多彩な演出とその鮮やかな対照、背景音楽を抑制し現実音を利用する音の演出等々。これほど贅沢な映画はちょっと他にないかもしれない。 もし映画というものを知らな...

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『皆殺しの天使』 不条理と円環的時間

監督 ルイス・ブニュエル 1962年 メキシコ映画 絵に描いたような不条理劇で、同じ描写の反復、不可解な物語や登場人物の心理など、その不条理さは形式から内容にまで及んでいる。作品世界の原理がいつまで待っても開示されない展開には苦痛を感じる人もいるかもしれない。しかしそこに面白さはない。幼児が原理を理解できないままに世界を体験するように、分からないことを分からないまま楽しむ映画だ。  繰り返される時間。...

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『勝手にしやがれ』 作り手の自由さ

監督 ジャン・リュック・ゴダール 1960年 フランス映画 自由な撮影と編集、単純な物語とそこからズレた描写など、個性的な映画だ。ただ、現在では様々な立場の人によって少し語られ過ぎた映画でもあって、新たな観客が先入観なしに見ることが難しくなっている面もある。しかし勿論、観客は自らの感性で自由にこの映画を楽しんだ方がいいだろう。個性的な手法に新鮮さを感じたり、女優にフォーカスした描写を楽しんでもいいし、...

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『俺たちに明日はない』 社会の外側にある生が強烈な魅力を放っている

監督 アーサー・ペン 1967年 アメリカ映画 アメリカン・ニューシネマの先駆とされている映画。単なる犯罪者を「反・体制」と捉えるのは飛躍しているが、当時はそういう時代の空気だったのだろう。アメリカン・ニューシネマは70年代に終わったが、この映画は今も生きている。 凶悪な犯罪者を描いているのに、彼らの生き方とその視点から眺める世界が予想外に魅力的だ。描写のリアリズム、内容に反した喜劇的な語り口など、客観...

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『2001年宇宙の旅』 知性と飛躍の映画

監督 スタンリー・キューブリック 1968年 イギリス・アメリカ映画 感情移入できないと辛いという人には悪夢のような映画だ。冒頭から20分間、猿しか出てこない。1匹偉大な個体がいるのでそれに感情移入するのがいいかもしれない。ただ見分けるのがちょっと難しい。 この映画、特にこのシークエンスは登場人物らしい登場人物が存在しないことで、描写のリアリティが映画の最も重要な基礎を成しているということを改めて教えてく...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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