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『ファンタスティック・プラネット』独創的なSFアニメ

監督:ルネ・ラルー 原作:ステファン・ウル 美術:ローラン・トポール 仏・チェコスロバキア 1973年 不思議な世界観が気持ち悪くも魅力的な映画。不気味でシュールな設定、それに形を与えた美術、奇妙でありながら現実的な物語、とにかく何もかもが独創的だ。 映画を見始めるとまず、ペン画のようなタッチを残した手描きの絵がそのまま動くのに驚かされる。どの作品を見ても質感が一様な日本やアメリカのアニメに慣れた目には...

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『金田一耕助の冒険』全編に溢れる虚構性

監督 大林宣彦 1979年 日本で『月世界旅行』が公開されてから74年が過ぎた頃『金田一耕助の冒険』は公開された。しかし、残念なことに1979年の人々は映画の虚構としての面白さを忘れてしまっていて、この映画はとても不評だったようだ。キネマ旬報のベストテンでは批評家からは無視されてなんと得票0、観客選出でも25位と低迷している。 当時はリアリズム以外は認めないとするような考え方が大勢を占めていたのだろうか? そ...

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『チャイナタウン』観客の感性を全ての点で上回るミステリー映画の傑作

監督:ロマン・ポランスキー 脚本:ロバート・タウン 1974年 アメリカ映画 観客が理解するより先に展開していく物語、リアルで充実した描写、一見何気ない場面の連続でありつつ後にそのすべてが意味を持ってくる緊密な編集など、構成要素のどれもが優れていて、非常に完成度の高い映画だ。勿論、決して紳士には見えないジャック・ニコルソンや大柄でいかにも海千山千のジョン・ヒューストン、儚げで退廃的なフェイ・ダナウェイな...

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『ゴッドファーザー』 巧緻を極めた表現と卓越した着想

監督 フランシス・フォード・コッポラ 1972年 アメリカ映画 我々人間の営んでいる社会生活からその生存競争としての本質を抽出したような内容、設定・物語・描写に通底するリアリズム、多彩な対照描写などがこの映画の魅力だ。また、表現面では個々の構成要素がそれぞれ堅実で優れていて、ほとんど欠点らしい欠点がない。そして、この映画はそれらの優れた特徴を観客に意識させない。斬新さや突出した技巧で観客を驚嘆させるこ...

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『アニー・ホール』 軽薄さと真摯さのバランスよいコメディ

監督 ウディ・アレン 1977年 アメリカ映画 観客にとってこの映画が感慨深かったとすれば、それは誰しもが思い当たるような人生の喜びや悲しみを滑稽に、そしてノスタルジックに描き出しているからだろう。男女が出会い、別れ、恋に落ちてやがてそれが冷め、相手の方から好きになられ乗り気でなかった恋には後々まで引きずられ忘れることができない…。その心理の過程や登場人物たちの感情にリアルな実感が伴っている。人生を楽し...

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『赤い影』 意図と表現の乖離

監督 ニコラス・ローグ 1973年 イギリス・イタリア映画 『赤い影』はオカルト映画であり、また一組の男女の心理を描いた映画でもある。恐怖の演出は煽情的でなく、意味ありげな描写と展開でじわじわと怖がらせようというスタイルだ。主人公の男女の心理はその志向の違いを含めて丁寧に描かれている。その確かなキャラクター描写と被写体としての冬のベネチア、赤い色などが印象的な映画だ。ただ、残念なことにそれら以外の部分...

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『HOUSE ハウス』 大林宣彦の遊び心に溢れたデビュー作

監督 大林宣彦 1977年 『HOUSE ハウス』は映画の楽しさを堪能させてくれる映画だ。題材的にはホラー映画であり、実際怖い場面もあるにはあるのだが、その怖さは遊園地のお化け屋敷のように楽しい。娯楽作品とは言ってもこれだけ無意味に徹して観客を楽しませてくれる映画はそうそうないだろう。勿論それだけ作品の出来が素晴らしいということなのだが、批評家には評価されづらそうだ。自然主義的リアリズムから懸け離れたところ...

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『ピクニックatハンギング・ロック』ピーター・ウィアー豪州時代の傑作

監督 ピーター・ウィアー 1975年 オーストラリア映画花を観察するミランダ。ソフトフォーカス、逆光、ピントがずれることで淡く映る草花、被写体としての日傘、白い服を着た少女、虫眼鏡で花を見るシチュエーション、あらゆる要素が美を志向している。 全編に漂う甘美で、官能的で、そして不思議な雰囲気こそが『ピクニックatハンギング・ロック』の最大の魅力だ。 靴下を脱ぐ少女の足、呼びかけを無視して裸足で歩き去ってい...

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『地獄の黙示録』 濃密な現実感、充実した意味作用

監督 フランシス・フォード・コッポラ 1979年 アメリカ映画 偉大な失敗作という言葉がこれほどしっくりくる映画もない。構成に失敗しているのは誰の目にも明らかで、濃密に醸成されてきた意味が肝心のクライマックスで拡散していく。しかしそれでも観客を魅了するという意味ではこの映画は決して失敗ではない。作品の完成度と魅力は正比例しないという見本のような映画だ。 人物、状況、映像、音響、その全てが混沌を示す戦闘...

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『スター・ウォーズ (Ⅳ:新たなる希望)』 おとぎ話の再生

監督 ジョージ・ルーカス 1977年 アメリカ映画 有名な映画だがシリーズでジャンルのようなものを形成していて、ちょっとした閉鎖性を感じさせるとともに、映画としての正当な評価を阻んでいるような雰囲気も漂っている。しかし、SFという分野を代表する1本であり、独特の魅力がある。 この映画の面白さはアイデアそのものと細部の意匠にあって、物語や演出はそれが狙いであったとしても平凡なのも確かだ。この作品を契機に大量...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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