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『ヒューゴの不思議な発明』様々な示唆

監督 マーティン・スコセッシ 2011年 アメリカ CGとミニチュアやセットを駆使して作られた作品世界、単純で表層的なキャラクターとストーリー、そして3D。作品の構造自体がジョルジュ・メリエスへのオマージュになっている。彼が21世紀に生きていたらこんな映画を撮ったのかもしれないと思わせる。もっとも彼ならもっとあからさまにアンチ・リアリスティックな作り物の世界にしてしまっただろうが。 本国のアメリカでは視覚効...

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『斬、』人間と世界の不調和

監督 塚本晋也 2018年 全体の状況より個々の被写体の細部に執着する視点に塚本晋也らしい魅力がある。熱せられた橙色の鉄、刀とその擬態音、首を握る手、竹とんぼやてんとう虫など。揺れるカメラが生み出す臨場感、塚本の演じる澤村のキャラクターなども魅力的だし、物語は独創的だ。 ただ、この映画は江戸時代の末期を描きつつ、そこに第二次世界大戦後の価値観を持ち込んでしまう。池松壮亮演じる主人公、都筑のキャラクター...

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『カメラを止めるな!』「ポン!」と視点の映画

監督/脚本/編集:上田慎一郎 原案:劇団PEACE「GHOST IN THE BOX!」 2018年 この映画は構成が非常に面白い。最初「あぁ、この程度なんだな」と安易な予断を誘い観客を油断させておいて、後半加速度的に魅力を倍増させてその想定を軽々と飛び越えていく。 序盤は題材、ストーリー、演技など何もかもが陳腐極まりないが、時間と空間に嘘がない1シーン1カットの威力で観客の関心を辛うじて繋ぎ止め続ける。  物語に回収されない不...

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『告白』優れた描写と奇抜なプロット

監督/脚本:中島哲也 原作:湊 かなえ 出演: 松たか子・橋本愛・木村佳乃 2010年 異常で猟奇的な登場人物・ストーリーと優れた描写でできている映画。人間のネガティブな情動を露悪的に描き、観客の皮相な好奇心を刺激する。その種のものを好まない人には向かないだろう。サービス精神に溢れたエンターテイメントとも言えるし、安っぽく興味本位とも言えるかもしれない。 登場人物の設定やプロットは、その奇抜さで観客を引きつけ...

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『散歩する侵略者』主題と表現の齟齬

監督:黒沢清 出演:長澤まさみ・長谷川博己 2017年 概念を奪うというアイデアが興味深い。なのに、この映画はそれを掘り下げてくれない。宇宙人たちは「概念を奪う」と言いながら概念を奪わず、家族への親近感や所有欲、自他の区別、敵意、愛などといった感情や認識能力そのものを奪う。その上なぜか奪い取った愛には自分が影響を受けてしまうらしい。奪い取るのが愛の概念ならそんなことは起こらなかっただろう。 これも矛盾に...

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『君の名は。』日本の美意識が反映された清新なアニメ映画

監督/脚本:新海誠 2016年 心の琴線に触れる映画だ。完成度は低く、作品の綻びは目に見えて大きいのに感情を揺り動かされる。 広大な空を描き続ける描写が人の存在をちっぽけにし、緻密に描かれた作品世界は想起された過去のように美しい。その中で偶然と奇跡によって紡がれる人の物語は甘く、感傷的で、憧憬を掻き立てる。 映画は空の絵から始まる。冒頭、彗星を追う視点が空を描き、その下にある地表を写す。ここからではもち...

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『キャビン』 B級映画のパロディ

監督 ドリュー・ゴダード 2012年 B級ホラーの体裁をとったコメディ映画。そして映画についての映画でもある。その着想が面白い。観客の視点をパロディ化し作品に内在化しているのが、この映画の眼目だ。それが観客という立場を客観的に考えさせてくれたりもする。それでいてちゃんと楽しめる映画になっていて、その点では作り手の確かな手腕を感じさせる映画でもある。 孤立した若者たちが次々と襲われていくB級ホラーの定番通...

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『ミッドナイト・イン・パリ』 芸術家たちの描写が面白い

監督 ウディ・アレン 2011年 アメリカ映画 軽くてオシャレな…もしくは軽薄で気取った映画。どちらの印象になるかは観客次第だが、しかし実はただ軽いだけではなく自己言及的なアイロニーも多分に含んでいる。かと言って重く深刻に考えさせるようなこともしない。独特のバランス感覚があり一筋縄ではいかないコメディ映画だ。 エッフェル塔や凱旋門などを入れ込み、現代のパリを定番通りに映し出していくオープニング。冒頭から...

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『Virginia/ヴァージニア』 コッポラの極私的映画

監督 フランシス・フォード・コッポラ 2011年 アメリカ映画 かなり出来の悪い映画と言ってしまっていいだろう。映画が始まるとすぐにナレーションが舞台となる町の様子を説明してくれるのだが、「明らかに悪霊が住みついているのだ」と断定的に語る主観丸出しのナレーションはどこの誰かも分からないし、これ以降出て来ることもない。設定は現代のようだが、描かれる町や住人は ’60 〜 ’70年代ごろのアメリカ映画のようだ。その...

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『レディ・プレイヤー1』 夢想する力への祝福

監督 スティーブン・スピルバーグ 2018年 アメリカ映画 『レディ・プレイヤー1』は人の夢想とそれによって創造された世界への祝福だ。たとえその発端と実態が現実からの逃避であったとしてもそれはもう関係ない。なぜならイマジネーションはそれ自体として素晴らしいものなのだから…。『レディ・プレイヤー1』はそういう映画だ。 映画はファーストシーンで手短に主人公と彼の生きる環境を紹介すると、彼自身のナレーションに...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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