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『コッポラの胡蝶の夢』 構成要素全ての混沌が魅力

監督 フランシス・フォード・コッポラ 2007年 アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア映画 日本語タイトルのセンスが悪いのは残念だが、内容は実に個性的で面白い。この映画の魅力は「格調高い」「深遠な」「重厚な」などといった種類のものではない。節操がない程の多様さと非現実のリアリティとでもいったものだ。様々な異なる顔を持った映画で、見る人によってその印象はまるで違ってくる。SF以前の幻想文学的な...

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『2001年宇宙の旅』 知性と飛躍の映画

監督 スタンリー・キューブリック 1968年 イギリス・アメリカ映画 感情移入できないと辛いという人には悪夢のような映画だ。冒頭から20分間、猿しか出てこない。1匹偉大な個体がいるのでそれに感情移入するのがいいかもしれない。ただ見分けるのがちょっと難しい。 この映画、特にこのシークエンスは登場人物らしい登場人物が存在しないことで、描写のリアリティが映画の最も重要な基礎を成しているということを改めて教えてく...

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『サクリファイス』 実体と表現の間

監督 アンドレイ・タルコフスキー 1986年 スウェーデン映画 この映画は世界観、表象、物語…つまり何もかもがキリスト教的だが、キリスト教礼賛ではない。人類が持っている宗教的な心情、信仰や迷信への心的傾向がこの映画においてはキリスト教に像を結んでいるということだ。テンポの遅ささえ気にしなければ誰もが楽しめる。描写も物語も独創的でとても面白い。特にタルコフスキーの映画としては偏りがちだった描写が抑制され、...

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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』娯楽映画の傑作

監督 ロバート・ゼメキス 1985年 アメリカ映画 最初から最後までとにかく楽しいコメディ映画。娯楽と銘打った映画が実際はちっとも面白くないことも多く、「娯楽映画」と聞くと「またどうせつまらない映画だろう」などと考えてしまいがちだが、この映画は言葉本来の意味での娯楽映画だ。 シナリオの面白さは傑出しているし、全編に散りばめられたギャグがまた一々可笑しい。描写においても、素朴で長閑な「Two Pines」と現代の...

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『スター・ウォーズ (Ⅳ:新たなる希望)』 おとぎ話の再生

監督 ジョージ・ルーカス 1977年 アメリカ映画 有名な映画だがシリーズでジャンルのようなものを形成していて、ちょっとした閉鎖性を感じさせるとともに、映画としての正当な評価を阻んでいるような雰囲気も漂っている。しかし、SFという分野を代表する1本であり、独特の魅力がある。 この映画の面白さはアイデアそのものと細部の意匠にあって、物語や演出はそれが狙いであったとしても平凡なのも確かだ。この作品を契機に大量...

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『時計じかけのオレンジ』 観客を挑発しているのではない

監督 スタンリー・キューブリック 1971年 アメリカ映画 単純明快なストーリー、倫理観を無視した表現、無神論的な人物描写などがこの映画の特徴だ。いや、過剰な色彩や社会と人間に対する風刺を先に挙げるべきだろうか? ストーリーの特徴も単純明快さより皮肉な展開を言うべきか? ともかく様々な点において特徴的で、色んな意味で際立つ映画だ。見所は沢山ある。 ストーリーの骨格は4コマ漫画にもできそうなほど単純だ。凶...

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『未知との遭遇』 彼岸への憧憬

監督 スティーブン・スピルバーグ 1977年 アメリカ映画  森の中の一軒家。特殊効果が日常を魅力的な童話の世界に変える。 特殊効果で作られた風景が魅力的だ。そこだけ僅かに明るくなっている地平線、その向こうの星空、灯りが消えていく遠景の街。中でも森の中の一軒家はまるでおとぎ話のように蠱惑的だ。U.F.O.の色彩豊かな光ももちろんいいが、一見特殊効果でなくてもよさそうな風景が、日常の中に微妙に非日常が混じり合...

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『マイノリティ・リポート』 多様な要素の折衷

監督 スティーブン・スピルバーグ 2002年 アメリカ映画 彩度を落としコントラストを強めた映像が印象的。プリコグの見るビジョン、雑誌や壁面、窓の反射など至る所に映し出される映像、過去の立体メモリー、スクリーンに映る映画…そしてそれらを見る目、眼球など、様々な見られるものと見るものが頻出するのも興味深い。ただ、それらは映画の内容との意味的な連関はあまりない。 この映画の見どころはSF的な世界でのアクション...

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『ストーカー』 タルコフスキー 人類と恩寵

監督 アンドレイ・タルコフスキー 1979年 ソビエト映画 この映画が娯楽作品として作られてないのは、主要登場人物3人が頭の禿げた中年男ばかりであることからも明らかだ。普通なら一人は美少女であるべきだろう。男性が感情移入し女性が憧れるようなカッコいい男もいない。科学者は帽子を被っていてもハゲだと察せられる。更にタルコフスキーはテンポというものを知らないらしい。眠ってしまいそうだ。 しかし、これは失敗作...

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『ブレードランナー』 諸要素から構成された世界観の魅力

監督 リドリー・スコット 1982年 アメリカ映画 発展した未来都市に人類の衰退を重ね合わせた世界観、その魅力がこの映画では決定的だ。世界の黄昏のような時代、退廃した都市、現実に埋没した平凡な人々。全ての要素に先がなく、滅びゆくものに特有の美を備えている。その暗く陰鬱な未来イメージは時間の流れを取り込み、観客の今を感じさせる点で数あるSF映画の中でも傑出している。 主人公の設定も控えめで、決してその世界...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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