FC2ブログ

記事一覧

HOME

『ファンタスティック・プラネット』独創的なSFアニメ

監督:ルネ・ラルー 原作:ステファン・ウル 美術:ローラン・トポール 仏・チェコスロバキア 1973年 不思議な世界観が気持ち悪くも魅力的な映画。不気味でシュールな設定、それに形を与えた美術、奇妙でありながら現実的な物語、とにかく何もかもが独創的だ。 映画を見始めるとまず、ペン画のようなタッチを残した手描きの絵がそのまま動くのに驚かされる。どの作品を見ても質感が一様な日本やアメリカのアニメに慣れた目には...

続きを読む

『ジキル博士とハイド氏 (1932)』優れた人物設定と多様な描写

監督:ルーベン・マムーリアン 脚本:パーシー・ヒース/サミュエル・ホッフェンシュタイン 出演:フレデリック・マーチ 1932年 アメリカ映画 公開時、もっとも注目され評価されたのは同一人物によるジキルとハイドの演技、特撮を使った変身描写などだったようだが、今日ではそれらが最も古びた要素になってしまっている。真正面からアップで捉えた懸命な顔の演技は少しコミカルに見え、特撮は陳腐で特に印象的なものではなくなっ...

続きを読む

『狂へる悪魔』描写には魅力もあるが…

監督:ジョン・S・ロバートソン 出演:ジョン・バリモア 原作:ロバート・ルイス・スティーヴンソン 1920年 アメリカ映画 スティーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』の映画化作品。原作小説は1886年の出版で、発表当初から評判がよく、翌年にはアメリカで舞台化されている。映画は1908年以来、今日まで数え切れないほど作られ続けていて、ある英文学者によるとざっと70本はあるそうだ。その中で比較的評価の高いのがフレデリッ...

続きを読む

『ある犯罪の物語』特殊な表現とドラマの獲得

監督 フェルディナン・ゼッカ 1901年 フランス映画 5分14秒 ある男が強盗殺人をして、警察に捕まり、絞首刑に処せられる。その中に彼の回想シーンが出てくるのだが、その表現方法が現代の映画とは異なっていて、とても面白い。  現在と過去が同時に存在し、  部屋の配置がなぜか反転する不思議な描写 まず、彼と看守らしい人物が独房で寝ている様子が描かれ、その同一フレームの中にもう一つの小さなフレームが突然現れ、...

続きを読む

『月世界旅行』虚構の魅力

ジョルジュ・メリエス 1902年 フランス映画 14分 史上初のSF映画として有名な作品。人の顔をした月に弾丸が突き刺さっている画は、誰もが一度は目にしたことがあるだろう。映画という極めて現実的な表現媒体で、自由奔放な夢物語を具象化したことが画期的だ。 キネトスコープの頃から映画に内在していた魅力のうち、リュミエール兄弟が映画の迫真性と記録性の魅力を知らしめたのだとしたら、ジョルジュ・メリエスは映画のもう...

続きを読む

『火事だ!』虚構のリアリズム (英題: Fire!)

監督 ジェームズ・ウィリアムソン 1901年 イギリス映画 4分40秒 ある建物に火事が起こり、それを見つけた警官が消防署に知らせ、住人の危機と消防隊の活躍があり、最後に住人が無事救出される。 非常に単純だが、複数の異なるシーンを連結することによって起承転結、つまり物語を獲得している。映画が物語を語り始めた時代のオリジナル・ストーリーだ。 ただ、その最初期の物語はあまりに単調すぎて、現代においては退屈な映...

続きを読む

『キャビン』 B級映画のパロディ

監督 ドリュー・ゴダード 2012年 B級ホラーの体裁をとったコメディ映画。そして映画についての映画でもある。その着想が面白い。観客の視点をパロディ化し作品に内在化しているのが、この映画の眼目だ。それが観客という立場を客観的に考えさせてくれたりもする。それでいてちゃんと楽しめる映画になっていて、その点では作り手の確かな手腕を感じさせる映画でもある。 孤立した若者たちが次々と襲われていくB級ホラーの定番通...

続きを読む

『パンズラビリンス』 現実と幻想の関係

監督・脚本 ギレルモ・デル・トロ 2006年 メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画 ファンタジー映画。表現は分かり易く、万人向けのスタイルになっている。ただ、夢や希望を肯定する明るいファンタジーではない。スタイルは子供向きだが、内容は暗く苦い。ファンタジーでありながら、ファンタズムが却って悲惨な現実を浮き彫りにし、人の普遍的な想像力や宗教的心情について考えさせる。 冒頭で地下世界の王女のおとぎ話が語ら...

続きを読む

『ドリームチャイルド』 愛情に溢れたオマージュ

監督 ギャヴィン・ミラー 1985年 イギリス映画 『ドリームチャイルド』は良質の娯楽映画だ。よくできた堅実な作りで『不思議の国のアリス』のファンタジーとしての魅力、郷愁に満ちた『黄金の午後』を具現化していて、特に原作の読者には素晴らしい贈り物となっている。原作の一部を映像化した部分はこれまでに映画化されたどの『不思議の国のアリス』よりも魅力的だ。 また、意図したものではないだろうが、過去と現在、幻想...

続きを読む

『赤い影』 意図と表現の乖離

監督 ニコラス・ローグ 1973年 イギリス・イタリア映画 『赤い影』はオカルト映画であり、また一組の男女の心理を描いた映画でもある。恐怖の演出は煽情的でなく、意味ありげな描写と展開でじわじわと怖がらせようというスタイルだ。主人公の男女の心理はその志向の違いを含めて丁寧に描かれている。その確かなキャラクター描写と被写体としての冬のベネチア、赤い色などが印象的な映画だ。ただ、残念なことにそれら以外の部分...

続きを読む

年代別

ジャンル別

プロフィール

ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

リンク

撮影監督の映画批評

無意識の感情移入など専門的な視点から語られる映画評。個性的。

 

映画中毒者の映画の歴史

創成期の映画史と当時の作品の解説。貴重な情報が多数。


このブログをリンクに追加する