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『あの夏、いちばん静かな海。』 生命の素地が持つ美しさ

監督 北野武 1991年 平凡でありふれた人物と出来事、それをそのまま曝け出す描写、聾唖に設定した主人公、常在する海、全てにおいて着想が非凡だ。 この映画は特別な人物をその特別さゆえに価値あるものとして描くものではない。ありふれた人々のありふれた出来事を描いている。登場する人物も起こる出来事も現実そのもののように平凡でありきたりだ。卑小と言ってもいいだろう。この内容であれば、描写は小さな出来事をクロー...

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『ソナチネ』 北野武4本目の監督作 世界の余剰としての生を描く

監督 北野武 1993年 この映画では人間のあらゆる行為…その生や死からも意義が奪われている。生には動機と目的が欠けていて、死は唐突で無意味だ。元々意味や価値といったものは人間が持ち込んだもので世界の属性ではないから、『ソナチネ』は普段我々の目にしない客観的な世界の姿を見せてくれているわけだ。この映画の描く客観的な世界で生は無意味な余剰となり、その自由さが我々観客を魅了する。 ヤクザの抗争と内紛を描いた...

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『キッズ・リターン』 時間を描こうとする着想、表現が独創的

監督 北野武 1996年 細やかな人物描写と時間表現が美しい。常に省略を含んだ描写が観客の想像力によって絶えず曖昧に補完され続ける。それが映画的な魅力に満ちた素晴らしい表現になっている。 社会の片隅に生きる人々を描いた映画だが、その人物描写には実感が伴っていて、時間とともに変遷するキャラクターとその行末を丁寧に拾っていくのが作り手の愛情を感じさせる。 一見かつてと変わらない風景だが、細部の変化が時の流れ...

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『3-4x10月』北野武第二の処女作にして一つの到達点

監督 北野武 1990年  北野武が企画・脚本から手がけた初めての作品。観客に対してこれほど挑発的な姿勢の映画もないだろう。監督の北野は前作でその才能の片鱗を見せていたとはいえ、当時1人のコメディアンがこれだけの映画を撮ったという事実は相当な衝撃だったはずだ。 ただ、1990年の人々にとって北野武はやはりビートたけしという単なる一コメディアンに過ぎなかったようで、コメディでもなく類型に則った娯楽作でもないこ...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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