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『時計じかけのオレンジ』 観客を挑発しているのではない

監督 スタンリー・キューブリック 1971年 アメリカ映画 単純明快なストーリー、倫理観を無視した表現、無神論的な人物描写などがこの映画の特徴だ。いや、過剰な色彩や社会と人間に対する風刺を先に挙げるべきだろうか? ストーリーの特徴も単純明快さより皮肉な展開を言うべきか? ともかく様々な点において特徴的で、色んな意味で際立つ映画だ。見所は沢山ある。 ストーリーの骨格は4コマ漫画にもできそうなほど単純だ。凶...

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『未知との遭遇』 彼岸への憧憬

監督 スティーブン・スピルバーグ 1977年 アメリカ映画  森の中の一軒家。特殊効果が日常を魅力的な童話の世界に変える。 特殊効果で作られた風景が魅力的だ。そこだけ僅かに明るくなっている地平線、その向こうの星空、灯りが消えていく遠景の街。中でも森の中の一軒家はまるでおとぎ話のように蠱惑的だ。U.F.O.の色彩豊かな光ももちろんいいが、一見特殊効果でなくてもよさそうな風景が、日常の中に微妙に非日常が混じり合...

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『マイノリティ・リポート』 多様な要素の折衷

監督 スティーブン・スピルバーグ 2002年 アメリカ映画 彩度を落としコントラストを強めた映像が印象的。プリコグの見るビジョン、雑誌や壁面、窓の反射など至る所に映し出される映像、過去の立体メモリー、スクリーンに映る映画…そしてそれらを見る目、眼球など、様々な見られるものと見るものが頻出するのも興味深い。ただ、それらは映画の内容との意味的な連関はあまりない。 この映画の見どころはSF的な世界でのアクション...

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『ストーカー』 タルコフスキー 人類と恩寵

監督 アンドレイ・タルコフスキー 1979年 ソビエト映画 この映画が娯楽作品として作られてないのは、主要登場人物3人が頭の禿げた中年男ばかりであることからも明らかだ。普通なら一人は美少女であるべきだろう。男性が感情移入し女性が憧れるようなカッコいい男もいない。科学者は帽子を被っていてもハゲだと察せられる。更にタルコフスキーはテンポというものを知らないらしい。眠ってしまいそうだ。 しかし、これは失敗作...

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『ブレードランナー』 諸要素から構成された世界観の魅力

監督 リドリー・スコット 1982年 アメリカ映画 発展した未来都市に人類の衰退を重ね合わせた世界観、その魅力がこの映画では決定的だ。世界の黄昏のような時代、退廃した都市、現実に埋没した平凡な人々。全ての要素に先がなく、滅びゆくものに特有の美を備えている。その暗く陰鬱な未来イメージは時間の流れを取り込み、観客の今を感じさせる点で数あるSF映画の中でも傑出している。 主人公の設定も控えめで、決してその世界...

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『影武者』 (2) 詳細解説と分析

監督 黒澤明 1980年詳説1 撮影と視点 『影武者』ではカメラの冷淡さが特に際立っているが、それはファーストシーンからすでに異様だ。人物から遠い位置にカメラを固定したまま6分以上の1カットのみで構成されている。同じ男が3人いて1人だけ影が映っているのが信玄だ。残り2人は弟の信廉と名もない盗人、それぞれ影武者と影武者候補だ。実体と影というモチーフを端的に映像で語っているのがいい。対話ののち、信玄が出ていくと...

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『影武者』 (1) 黒澤明後期の特異な傑作

監督 黒澤明 1980年 非常に独創的で特殊な映画だ。なかなか語る言葉も見つからない。 そのせいか公開時から今に至るまでずっと賛否両論が続いているようだ。その意味では評価の決定している『生きる』や『七人の侍』などより現代においてはもっとも生きのいい黒澤映画と言えなくもない。 この映画の変わっている点はいくつもあるが、まずその描写が特異だ。 一見アクションが見どころの時代劇のような外見だが実際は全く逆で...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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