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『河内山宗俊』 現代においても新しい映画であり続けている

監督 山中貞雄 1936年 この映画は日本映画の歴史にとって価値があるというだけでなく、おそらく現代の一般的な観客にとっても面白く、色々な意味で驚かせてくれる映画だろう。新人女優の原節子も新鮮だし、斬新な編集、見事なアクションシーンもある。何よりキャラクターが魅力的だ。 山中貞雄の現存作品としては他2本より知名度が低いのはなぜだろう? 明解な悲劇や喜劇にカテゴライズできないせいだろうか? 脚本も描写も冒...

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『ソナチネ』 北野武4本目の監督作 世界の余剰としての生を描く

監督 北野武 1993年 この映画では人間のあらゆる行為…その生や死からも意義が奪われている。生には動機と目的が欠けていて、死は唐突で無意味だ。元々意味や価値といったものは人間が持ち込んだもので世界の属性ではないから、『ソナチネ』は普段我々の目にしない客観的な世界の姿を見せてくれているわけだ。この映画の描く客観的な世界で生は無意味な余剰となり、その自由さが我々観客を魅了する。 ヤクザの抗争と内紛を描いた...

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『勝手にしやがれ』 作り手の自由さ

監督 ジャン・リュック・ゴダール 1960年 フランス映画 自由な撮影と編集、単純な物語とそこからズレた描写など、個性的な映画だ。ただ、現在では様々な立場の人によって少し語られ過ぎた映画でもあって、新たな観客が先入観なしに見ることが難しくなっている面もある。しかし勿論、観客は自らの感性で自由にこの映画を楽しんだ方がいいだろう。個性的な手法に新鮮さを感じたり、女優にフォーカスした描写を楽しんでもいいし、...

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『俺たちに明日はない』 社会の外側にある生が強烈な魅力を放っている

監督 アーサー・ペン 1967年 アメリカ映画 アメリカン・ニューシネマの先駆とされている映画。単なる犯罪者を「反・体制」と捉えるのは飛躍しているが、当時はそういう時代の空気だったのだろう。アメリカン・ニューシネマは70年代に終わったが、この映画は今も生きている。 凶悪な犯罪者を描いているのに、彼らの生き方とその視点から眺める世界が予想外に魅力的だ。描写のリアリズム、内容に反した喜劇的な語り口など、客観...

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『レザボア・ドッグス』 B級映画の顔を持った一級品

監督 クエンティン・タランティーノ 1992年 アメリカ映画 初監督作でいきなり才能が爆発している。優れた映画監督にはキャリア初期に傑作を作ってしまうタイプと徐々に才能を発揮してやがて傑作を撮るタイプがあるとしたら、タランティーノは明かに前者だ。 様々な引用で構成されつつ出来上がった映画はしかし見事に個性的だ。数々の影響や引用がタランティーノ本人をはじめとする多くの人によって語られている映画でもあるが...

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『現金に体を張れ』 鮮明で截然とした表現

監督 スタンリー・キューブリック 1956年 アメリカ映画 50年代の犯罪映画でストーリーテリングに面白さがある。スタンリー・キューブリックの作品だが、『2001年宇宙の旅』と同じ監督とは思えないほど物語の比重が大きい。映像はコントラストがはっきりしている。被写体の輪郭が明確で、背景の暗い部分は真黒だ。編集においても物語に不要な描写は徹底的に刈り取られ、個々のカットは機能的で無駄がない。キビキビとしていて明...

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『エリミネーターズ』 B級映画のB級映画らしい面白さ

1986年 アメリカ映画 低予算で作られているSF映画で、びっくりするほど出来が悪い。しかし、つまらないかというとそうとも限らない。あからさまに不適切な処理が逆に面白く、ツボに嵌れば爆笑できる。 いきなり描かれる飛行機事故となぜかローマ時代の兵士と爆発。その唐突で荒唐無稽な展開、半端な描写、安っぽい特撮と派手な音楽。見紛うことないB級映画だ。普通なら脚本、撮影、造形等々いずれかの部門が格好をつけて少しは...

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『キッズ・リターン』 時間を描こうとする着想、表現が独創的

監督 北野武 1996年 細やかな人物描写と時間表現が美しい。常に省略を含んだ描写が観客の想像力によって絶えず曖昧に補完され続ける。それが映画的な魅力に満ちた素晴らしい表現になっている。 社会の片隅に生きる人々を描いた映画だが、その人物描写には実感が伴っていて、時間とともに変遷するキャラクターとその行末を丁寧に拾っていくのが作り手の愛情を感じさせる。 一見かつてと変わらない風景だが、細部の変化が時の流れ...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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