FC2ブログ

記事一覧

HOME

『わが青春に悔なし』 時間のコラージュと前後半の矛盾

監督:黒澤明 出演:原節子・藤田進 1946年 コラージュ的な編集が魅力的な映画だ。 家に訪ねてきた野毛が退出する際、彼が気になって仕方ない幸枝が見送るかどうかドアの前で逡巡する。その様子が10秒にも満たない間に4度もオーバーラップを重ねて描かれ、更にその後、一転して無表情に野毛を見送るショットが繋がれる。彼女の葛藤を端的に示して優れた心理描写となっているとともに、単純に表現としてとても魅力的だ。 幸枝が野...

続きを読む

『狂った一頁』 衣笠貞之助の傑作前衛映画

監督:衣笠貞之助 脚本:川端康成 1926年 独創的な映画だ。無声映画であり、かつ、字幕がない。美術、撮影、照明、編集などにおいて様々な実験的な表現がなされており、通常の劇映画、商業映画にない魅力を持っている。説明的なところが全くない映画だが、決して難解ではない。普通に見ていると主人公は病院の使用人で、彼が常に執着している女が彼の妻で、結婚する女は彼らの娘だろうと事後的に解釈出来てくる。 「日本で生ま...

続きを読む

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 商品としての映画

監督 J・J・エイブラムス 2015年 アメリカ映画 美術や脚本などほぼすべての点で旧3部作を踏襲していて、以前の作品にあった魅力を再現することに最大限心を砕いている。ファンを大きく落胆させることはないだろう。主人公を女性にして新たな観客を獲得するための努力も見える。ただそのために新鮮さや意外性は犠牲になっている。創作というよりは商品と言った方が相応しい映画だ。 ダースベイダーのような全身黒づくめの悪役が...

続きを読む

『雄呂血』 視点と描写の乖離が美点となった映画

監督:二川 文太郎 脚本:寿々喜多呂九平 出演:阪東妻三郎 1925年 阪東妻三郎プロダクションの第一作目。後世の批評が語る通り、殺陣の当時における斬新さ、時流に合致しての大ヒット、それらによって時代劇を刷新したこと等が日本映画史上の意義だ。日本映画の発展に寄与したことは間違いないだろう。しかし、『雄呂血』には歴史的な価値に留まらない普遍的魅力がある。そのことについて語らなければ現代において改めてこの...

続きを読む

『君と別れて』 成瀬巳喜男サイレント期の代表作

監督 成瀬巳喜男 1933年 生活のため芸者をしている菊江、その息子の義雄、同じく芸者で彼らの幼馴染の照菊、3人の関係を描いた映画。照菊の物語としては悲劇、義雄の物語としては切ない青春の1ページといったところだろうか。 ストーリーは平凡だが、成瀬作品ではそれが欠点にならない。語り口が軽快で、細分化されたカットが同じ場面を多様な角度から次々と映し出して見せてくれるので、視覚的に飽きない。その目まぐるしいカ...

続きを読む

『トータル・リコール』 趣味の悪さと知的な面白さ

監督 ポール・バーホーベン 1990年 アメリカ映画 大がかりなSF映画。ちょっと悪趣味なところがあるが、そこさえ気にならなければよくできた面白い娯楽作品だ。原作者は『ブレードランナー』や『マイノリティ・リポート』と同じフィリップ・K・ディックで、この3本の中では現実と虚構を等価にしてしまうような彼の持ち味が一番ストレートに再現されている。原作にあった詩情やユーモアは消えて、かなり直接的、どぎついと言って...

続きを読む

『ターミネーター』 健全な野心

監督 ジェームズ・キャメロン 1984年 アメリカ映画 アーノルド・シュワルツェネッガー演じる殺人マシンが大暴れする楽しいアクション映画。ただ、意外にも基本プロットは「平凡な女の子が危機的な状況に直面することで成長する話」といった感じで、どちらかというと女性向きの内容になっている。 その骨格だけ取り出してしまうと『千と千尋の神隠し』と見分けがつかない。どちらの作品も物語の展開の中で彼女たちは助けられる...

続きを読む

年代別

ジャンル別

プロフィール

ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

リンク

撮影監督の映画批評

無意識の感情移入など専門的な視点から語られる映画評。個性的。

 

映画中毒者の映画の歴史

創成期の映画史と当時の作品の解説。貴重な情報が多数。


このブログをリンクに追加する