FC2ブログ

記事一覧

HOME

『アイズ ワイド シャット』 ある事柄についてのシンプルな映画

監督 スタンリー・キューブリック 1999年 イギリス・アメリカ映画 キューブリックの映画は難解であるという世評があるが、決してそんなことはない。表現は曖昧さを徹底的に排除していて常に明快だ。逆に明快さこそが彼の特徴であり、作品そのものは極めて単純にできている。『時計じかけのオレンジ』などは明快過ぎて露悪的なほどだし、『2001年宇宙の旅』のシンプルな表現を複雑に、また哲学的に解釈しようとするのもあくまで...

続きを読む

『パンズラビリンス』 現実と幻想の関係

監督・脚本 ギレルモ・デル・トロ 2006年 メキシコ・スペイン・アメリカ合作映画 ファンタジー映画。表現は分かり易く、万人向けのスタイルになっている。ただ、夢や希望を肯定する明るいファンタジーではない。スタイルは子供向きだが、内容は暗く苦い。ファンタジーでありながら、ファンタズムが却って悲惨な現実を浮き彫りにし、人の普遍的な想像力や宗教的心情について考えさせる。 冒頭で地下世界の王女のおとぎ話が語ら...

続きを読む

『ドリームチャイルド』 愛情に溢れたオマージュ

監督 ギャヴィン・ミラー 1985年 イギリス映画 『ドリームチャイルド』は良質の娯楽映画だ。よくできた堅実な作りで『不思議の国のアリス』のファンタジーとしての魅力、郷愁に満ちた『黄金の午後』を具現化していて、特に原作の読者には素晴らしい贈り物となっている。原作の一部を映像化した部分はこれまでに映画化されたどの『不思議の国のアリス』よりも魅力的だ。 また、意図したものではないだろうが、過去と現在、幻想...

続きを読む

『ときめきに死す』 森田芳光の才能が発揮された一本

監督 森田芳光 1984年 醒めた描写と虚無的な物語に新鮮な面白さがある。心理を排した客観的な描写の冷たさ、登場人物たちの営みから意義が失われていく物語の虚無感、それらが一般的な娯楽映画の感情を刺激しようとする描写と物語の肯定的な嘘に慣らされた我々観客の目にはとても新鮮だ。 描写は観客に感情移入を促すことなく、物語も終盤までほとんど何も起こらず淡々と進む。が、その奥底には劇的な意味作用が密かに流れてい...

続きを読む

『ブルーベルベット』 優れた技巧と社会の暗部

監督・脚本 デヴィッド・リンチ 1986年 アメリカ映画 類型的な題材を扱いながらも個性的な映画だ。一見ありきたりな犯罪スリラーのような物語が展開していくが、その定型的な物語を語るストーリーテリングの巧さ、キャラクター、描写など全てが類型からズレたオリジナリティを見せ、やがて人と社会の後ろ暗い裏面を前景化していく。 また、全編技巧が冴えわたっていて、その技術の確かさは「この部分が巧い」というようなもの...

続きを読む

年代別

ジャンル別

プロフィール

ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

リンク

撮影監督の映画批評

無意識の感情移入など専門的な視点から語られる映画評。個性的。

 

映画中毒者の映画の歴史

創成期の映画史と当時の作品の解説。貴重な情報が多数。


このブログをリンクに追加する