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『アニー・ホール』 軽薄さと真摯さのバランスよいコメディ

監督 ウディ・アレン 1977年 アメリカ映画 観客にとってこの映画が感慨深かったとすれば、それは誰しもが思い当たるような人生の喜びや悲しみを滑稽に、そしてノスタルジックに描き出しているからだろう。男女が出会い、別れ、恋に落ちてやがてそれが冷め、相手の方から好きになられ乗り気でなかった恋には後々まで引きずられ忘れることができない…。その心理の過程や登場人物たちの感情にリアルな実感が伴っている。人生を楽し...

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『ミッドナイト・イン・パリ』 芸術家たちの描写が面白い

監督 ウディ・アレン 2011年 アメリカ映画 軽くてオシャレな…もしくは軽薄で気取った映画。どちらの印象になるかは観客次第だが、しかし実はただ軽いだけではなく自己言及的なアイロニーも多分に含んでいる。かと言って重く深刻に考えさせるようなこともしない。独特のバランス感覚があり一筋縄ではいかないコメディ映画だ。 エッフェル塔や凱旋門などを入れ込み、現代のパリを定番通りに映し出していくオープニング。冒頭から...

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『快盗ルビイ』 表現の魅力と映画としての失敗

監督 和田誠 1988年 作品世界が魅力的だ。自然主義的なリアリズムにはっきりと背を向けて、オシャレで楽しいデフォルメされた虚構世界を作り出していく。 手作り感のある夕焼け空や窓外の星空、突然部屋の中で主演の二人がミュージカルを演じ出し、舞台劇のようなスポットライトを浴びる演出、特撮映画のような夢の場面、侵入した高級マンションの一室でのドイツ表現主義のような光と影の交錯など、個性的で面白い表現が随所に...

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『麻雀放浪記』虚実の混淆が生む映画的魅力

監督 和田誠 1984年 一見マニアックな題材が実に面白い映画になっている。 様々な手法で再現された「戦後の日本」はリアリティを持ちつつ手作りの創作感にも溢れていて、虚実入り混じった魅力的な仮構世界を形成する。他方、その世界の中に描き出される博徒たちの特殊な社会とそこに生きる人々は一転して現実そのもののような実在感だ。その虚実皮膜の世界で展開される彼らの真剣な騙し合いがこの映画の核だ。現実的な状況、実...

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『Virginia/ヴァージニア』 コッポラの極私的映画

監督 フランシス・フォード・コッポラ 2011年 アメリカ映画 かなり出来の悪い映画と言ってしまっていいだろう。映画が始まるとすぐにナレーションが舞台となる町の様子を説明してくれるのだが、「明らかに悪霊が住みついているのだ」と断定的に語る主観丸出しのナレーションはどこの誰かも分からないし、これ以降出て来ることもない。設定は現代のようだが、描かれる町や住人は ’60 〜 ’70年代ごろのアメリカ映画のようだ。その...

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『市民ケーン』 形式の魅力と映画としての魅力

監督 オーソン・ウェルズ 1941年 アメリカ映画 1941年の映画だが全く古びていない。古びるほどの内容を持っていないとも言えるかもしれない。『市民ケーン』は描かれる内容が特別に興味深いというのではなく、技巧を駆使した表現によってこそ素晴らしい映画となっているためだ。映画が単なる物語ではないということを示す格好の例であり、また、文学や演劇ではない映画の、映画的な面白さに満ちている。 光と影が交錯し、人々...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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