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『残菊物語』卓越した描写と偶有性

監督 溝口健二 1939年  二人の馴れ初めは右向きの移動撮影、追い出された  お徳は左向きのパンで去っていく。 シーン内での時間・空間の連続性の維持が徹底されていて、その完成度が異常に高い。『浪華悲歌』の頃、要所要所で使われて効果を発揮していた ”場” の演出がほぼ全編に拡大され、緊張感を漲らせている。その張り詰めた空気は観客にも伝わってくるほどで、撮影時の演者とスタッフの緊張はとんでもないものだったろ...

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『嫁ぐ日まで』技巧が支える親しみ易さ

監督/脚本:島津保次郎 出演:原節子・矢口陽子・杉村春子 1940年 平凡な日常を新鮮で魅力的なものに刷新してしまう島津の資質が十二分に発揮された一本。内容、表現ともに新しい試みが見られないのは少し寂しいが、そのかわりに、ホームグラウンドで羽を伸ばした、寛いだ楽しさがある。 内容的には当時の結婚や家族関係が主に描かれる。登場人物は皆、自分の感情や将来設計より家の存続とその中で果たすべき役割を優先して考え...

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『愛より愛へ』他愛なさを称賛させずにおかない

監督 島津保次郎 脚本 大庭秀雄 出演 高杉早苗 1938年 古い映画だが現代においても誰もが気軽に楽しめる良質の娯楽映画だ。 物語は戦前の家制度を背景に階級の違う若い男女のカップルを描く。定石通りに破局や自殺を仄めかす描写を挿入しつつ展開し、観客にドラマティックな悲劇を予感させる。ところが、最後になってそれまでの深刻な展開を台無しにして唐突なハッピーエンドに収束してしまう。もちろん観客は拍子抜けだ。し...

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『朗らかに歩め』小津の別系譜

監督 小津安二郎 1930年 冒頭、接岸した大きな船を捉えたカメラがトラックバックしてゆき、手前に並んでいる自動車を次々に入れ込んでいく。なぜか自動車が斜めに並んで停まっているのは、勿論、この美しい構図を作るためだろう。その前を今カメラが通ってきたのと逆方向に群衆が全速力で奥に走っていく。そこから次々とカットを変え、場所を変えて、カメラは走る群衆を捉えていく。カメラと被写体の動き、構図、カット割り、全...

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ぱこぺら

Author:ぱこぺら
批評なので基本的にネタバレです。できるだけ下記の方針で書きます

・作品外の周辺情報を考慮せず作品内の表現に基づいて評価する
・歴史的な読み、評価から離れて現在の視点から論じる

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