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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 商品としての映画

監督 J・J・エイブラムス 2015年 アメリカ映画

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 美術や脚本などほぼすべての点で旧3部作を踏襲していて、以前の作品にあった魅力を再現することに最大限心を砕いている。ファンを大きく落胆させることはないだろう。主人公を女性にして新たな観客を獲得するための努力も見える。ただそのために新鮮さや意外性は犠牲になっている。創作というよりは商品と言った方が相応しい映画だ。

 ダースベイダーのような全身黒づくめの悪役がいて、ハン・ソロは30年経ってもアウトローのままだ。旧三部作のラストで銀河に平和が訪れたはずだったが、帝国の代わりにファースト・オーダーが登場し、共和国はレジスタンスを支援していて相変わらず劣勢らしい。かつての反乱軍の勝利に特に意味はなかったようだ。デス・スターをさらに強力にしたような兵器も出てくる。旧三部作の全ての構図が、些か不自然ながらも再現され、かつての魅力を保全することに細心の注意が払われる。
 一方で全てが繰り返しであり、刺激を強めるために表現にはインフレーションが起きている。衛星兵器は惑星兵器に、皇帝は巨大なホログラムの最高指導者に代わっていて、作劇上の役割は何も変わっていないのに表現だけが過激になっている。
 ファースト・オーダーに捕まったポー・ダメロンが全く面識のないフィンを何の疑いもなく信用したりと描写にも退廃が見られる。

 しかし、フォースを目覚めさせる主人公のレイや元ストームトルーパーの身の上を持つフィン、未熟な悪としてのカイロ・レンなど新たな登場人物たちが魅力的に描かれ、ライトセーバーによる戦いは旧三部作よりずっとリアルになっている。レイガンから発射された光弾がフォースによって空中で停止するという新しい表現もある。

 慣れ親しんだスターウォーズらしい魅力と新たに加わった魅力があり、半分目を瞑って多くの欠点が目に入らない振りをすれば面白く見られるだろう。

 マーケティング結果に基づいて作られたような作品になっているのは、創意に溢れた最初の『スターウォーズ』と比較すると寂しい限りだが、きっとスターウォーズシリーズがいまだに全世界で多くの観客を楽しませていることを称賛するべきなのだろう。

・スター・ウォーズ (スターウォーズⅣ:新たなる希望)

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